せっかくのハイキングもバテてしまっては苦しいだけです。バテは予防するのが一番。つぎのことに心がけてください。
事前に地図やガイドブックを調べ、予備知識を持とう
山へいった時、地図を持たずに「リーダーにすべておまかせ」の人も多くみかけます。しかし、予備知識をもっていれば先の見通しをつけることもでき、精神的に余裕ができます。楽しい山歩きのためには、こうした要素も大切です。
体調をよぐ整え、栄養を摂取しておこう
特に、中高年者の場合は、ちょっとした体の不調が大きな事故につながることもあります。けっして無理はしないようにしましょう。また、空腹がバテの原因となることもあります。朝食はしっかり食べ、行動中も随時、食物や水を摂取しましょう。
ふだんから体を動かし、トレーニングしておくことも心がけたいものです。
靴は足にあったものを。ザックはバランスよく背負う。余分なものは持っていかない
ハイキングの装備のポイントは靴とザックです。また、食糧など他人の分まで持ってきて、重くてバテることがよくあります。余分なものは持っていかないようにしましょう。
着心地がよく、重ね着で体温調節のできる服装を工夫しよう
山では、行動中と休憩時で暑くなったり寒くなったりの繰り返しです。また、気温も激しく変化します。汗をかいても冷たくならず、調節のきく服装がポイントです。
ゆっくり一定のペースで歩く
歩き方のコツは、とにかくゆっくりと息が切れない程度に一定のペースで歩くことです。ペースが速くて一度バテてしまうと、なかなか回復しません。意識的にゆっくり歩き、ペースが速すぎるときはリーダーに言いましょう。
家を出る前に家族に、どこへ誰と行くのかをはっきり伝えておきましょう。
なるべく計画書(メモ書き)で残しておくことです。
※道に迷づて下山や帰宅が遅れた時、どこへ行ったのか分からず大騒ぎとなることがあります。また、万一事故の場合も、行く先が分からないと救助のしようがありません。
歩き出す肘に準備体操やストレッチングで体を十分ほぐしてから歩きましょう。
地元の人から、コースの情報を得ておくのも大切です(ただし、山を知らない人もいますから、100%うのみにはしないように)。山では多くの場合トイレがありません。出発前にすませておきましょう。
登山口をしっかり確認
登山口はなかなか分かりづらいもの。しっかりした指導標がない場合はよけいです。ここで手抜きをすると、道をまちがえて時間を大幅に無駄にしかねません。地図やガイドブック、指導標でしっかりと確認してから先に進みましょう。
歩き始めの30分
歩き始めの30分で体調をみましょう。その日の調子によって無理のないペースづくりをします。歩きだしてから15分~30分で小休止をとります。歩いて体が暑くなったら着ているものを1枚ぬぐなど、体温の調整をはかりましょう。また、身支度、足ごしらえ、ザックのパッキングなど不都合なところがでてきますから直します(以後の休憩は、体が歩行になれてくるのでこれよりもやや長い間隔=30分~1時間に1回=でとるようにします)。
急な登りでは
歩幅を狭く、一歩一歩確実に登ります。無理して遠く歩こうなどとは思わず、意識的にゆっくり歩くことが大切です。靴底は全体を地面にべったりとつけ、やや前傾姿勢でザックを上半身全体で支える感じです。
急斜面では石は絶対に落とさないよう注意してください。万一落とした場合は「ラ
クセキー」と大声で下の人に知らせます。
休憩時にやること
一回の休憩は5~10分です。ザックの背負い具合や靴ひもの調整、食物や水の摂取など手早くすませておきましょう。長めの休憩では休が冷えないように歩いている時より1枚多く着ておきます。地図を広げて現在地の確認も。ただし、出発の声がかかったらいつでも歩きだせるよう、“お店”を広げないようにしましょう。
岩場・鎖場では
滑りやすい岩場は、三点支持(両手・両足の計4か所のうち必ず3か所をしっかりした手かかり・足がかりにおき、残り1か所だけを動かす)で通過します。両手で鎖にぶら下がると体が振られて、かえって危険です。鎖はあくまでも補助にするだけにしてください。雨天時の鉄バシゴはすべりやすいので注意しましょう。
また、こわいからと岩にへばりつくと、逆に足元が滑りやすくなります。岩にまっすぐ向かって体を岩から離し、足元が見えるようにして登り降りします。
下り道こそしっかりと
山での転倒や滑落事故は下りで多く発生しています。それは気のゆるみや疲労の蓄積などが原因です。へっぴり腰にならず、ひざを曲げて靴の底全体で地面をとらえ摩擦(ツリクション)をきかせます。ふんばって体をとめるのではなくスムーズに次の足を前に出し、リズミカルに下りましょう。 山では登り優先です。登ってくる人には道をゆずりましょう。
道に迷わないために
事前にコースをよく検討し、予備知識を持っておくことが大切です。地図を取り出しやすいところに入れておき、時々現在地を確認しておきましょう(特に登山口、沢筋や尾根筋、ピーク、分かれ道などでは必ず)。
万一道に迷ったら、まず地図と磁石をだし、落ち着いて現在地の確認をします。分からない場合はもと来た道をはっきり確認できる地点(道標があるなど)まで引き返します。ふもとまで近そうにみえても、はっきり登山道と分かっている道を行き、絶対に沢に下ってはなりません。沢には滝やガケがっきもので、行きづまってしまいます。
バスを待っているあいだに 勝手にビールを買いに行っ たり、トイレに行ったために 他の人は大騒ぎなど、よくある事例です。リーダーの指示 に従い、隊列を離れる時には必ずそれを伝えてからにしましょう。
新しい人がリーダーをやっている時には、多少の失敗や不手際はつきものです。それを批判するのではなく、リーダーを助け、暖かい声援を送りましょう。
歩きはじめるまえに歩く順番も決めます。オーダー(順番)を明確にすることは、そのパー
ティーの機能を最大限に発揮させるために重要です。トップ(先頭)とラスト(最後尾)を常に明確にして行動すべきです。リーダー、サブリーダーでトップかラストのいずれかを受け持つことになります。
トップは、コースを間違いなく導くと共に、パーティーの歩行速度の調整役、つまりペース
メーカーという非常に大切な役目です。歩く速度は足の遅い人を基礎にして、2~3番目には足の遅い人や初心者をおき、トップはこの人たちが余裕をもって歩ける速さを基準として歩きます。どんなペースにでも合わせて歩かねばなりません。
しばしばペースは早くなりがちなものですが、自分自身のペースで歩いてはならず、意識的にゆっくりと、一定のはやさで歩くことが必要です。
順番があとになるほど、体力的・精神的にも疲れやすいので、後の方には体力のある人たちをもってきます。足の早い人を前の方にもってくると、トップの判断がくるい、つい引きずられて早くなりがちですから、注意しましょう。
ラストは、全体に目を配り、トップに適切な助言をしたり、パーティーのまとまりに気をつ
けねばなりません。体力的にも疲れやすいポジションです。
ラストの人は、メンバーを自分より後にしたり、とり残したりしてはなりません。先頭のペ
ースが早すぎて前の方と後の方が離れたり、不調の人が出たときは、速やかにトップに知らせ
ます。特に一部の人が順番を乱したり、勝手に列を離れてパーティーをバラバラにしないよう
注意を払い、パーティーを乱す人には注意しましょう。
オーダーは、出発時にきめるのが普通ですが、一般的に広く参的者を募ったときなど、参加
者の体力や体調がはじめからつかめないときは、最初はオーダーを決めずに歩き、その間に様子をみて、それから決めた方がよいときもあります。
休憩のとり方、場所、休憩時に行うこと
当日の朝の健康状況や歩きだしてからの各人の状況把握などきめ細やかなフォローが必要で
す。歩きはじめて最初の休憩は早めに、20分程度でとり、靴ヒモ、パッキング、衣服などの調整をします。初心者にはそのことを告げて、気をつけてあげましょう。
歩きだす前は寒かったとしても、20分も歩けば体は多少の汗をかき温かくなります。衣類は
暑いときは脱ぎ、寒くなったら着るというのが原則です。体温調整用のヤッケやシャツを1枚、
いつでも取り出せるようにしておくよう指示してください。気温の低いときや風の強いときなど休を冷やさないことも疲労しないコツです。
また、以後の休憩は地形や疲労度で違いがでてきますが、30分~50分毎に5~10分の休憩をとります。傾斜が急になったらやや早めに休憩するなど、疲労度に応じて臨機応変に判断しましょう。 しかし、あまり長すぎる休憩はかえって疲労の原因になります。休憩が多すぎるのも歩行のリズムがみだれます。人間は歩きだすとエネルギーの放出がしやすいよう身体が機能するからです。したがって、歩きだしたら一定のスピードを維持し、あまり頻繁に休まない方が疲れません。休憩に適した場所は、あらかじめよく調べておくことです。
そうすれば、むだな休憩をとることがさけら牡ます。また、休憩場所についたら、全員がなるべく平等によい場所につけるように配慮しなければなりません。そのため、トップは全員が入りきれるように、その場所の先端まで行ってから全員に休憩の合図をします。 休憩に適した場所としては、危険がなく全員が入ることができるスペースがあり、また、水場やトイレがある所(できる所)、展望のよい場所、ピークなどを中心に選びます。
休憩に入ったら、まず全員に次の行動への準備を行ってもらいます(服装や持ち物の点検、
水やエネルギーの補給、トイレなど)。また、リーダー・サブリ一ダーは全員の様子をよくつかむことが大切です。特に体調のよくない人を早くみつける必要があります。できるかぎり一人ひとりに声をかけてはげまし、元気づけるようにすることが大切です。
休憩時間は、「何分回」または「何時何分」までか、あらかじめメンバーに知らせ、時間がくれば速やかに出発できるように準備してもらいます。
休憩は「疲れたから休む」のではなく、「疲れないように休む」よう心掛けましょう。
歩きだしてからのリーダーの行動の仕方
リーダーは、やたらにリーダーの権威をふりまわすのではなく、メンバーを力づけ、パーティーの士気を高めることが大切です。また、ただ山を歩くだけでなく、ひと工夫するとハイキングが一層楽しいものになります。たとえば、昼食時にお湯をわかしたり、何か簡単なものを作って食べたりすることは大きな効果があります。参加者どうしの交流を図り、初心者やはじめての参加者との断絶がないよう、仲間の輪に意識的に入れてあげましょう。昼食時や休憩時には新会員やなじみの薄い人が全体に溶け込めるよう気を配ります。古い会員や力のある会員の応援を求めて、会のことや基礎的な
登山技術などや持ち物などに、適切なアドバイスができれば最高です。
また、眺めのよいところや、高山植物の見どころなどでは随時立ち止まって楽しんだり、少し休憩したりしながら、ゆとりをもつことも大切です。規則正しくといっても機械的にはならず、のんびり・ゆったりの「ビスターリ」気分で地球を歩きましょう。
岩場や危険な場所を通過するときや急斜面などでは、経験の少ない人や体力の弱い人の前後にしっかりとした人を配置します。リーダーは全員が通過するまで安全な場所に移動して待機し、先に行ってしまってはいけません。昼食ですが、40~50分か適当でしょう。しかし、行動計画や天候によっては、短時間ですませるとか、2~3回に分けて食べる場合もあります。また、ハイキング中の飲酒は事故のもとであり、禁酒とすべきです。アルコールは下山後に
仲間と楽しむようにしましょう。基本的なことですが、登山路は登りが優先、登ってくる人には適当なところで待機して道を譲りましょう。多人数のパーティーの場合、登り下りいずれでも、力量のあるパーティーや少人数のパーティーには道を開けて先に行ってもらうなど、ラストの判断で臨機応変に対処しましょう。
悪天、緊急時の対応
違を間違えたり迷ったときは、ためらわず元の地点に引き返します。“深追い”は一層パーティーを困難に陥れ、メンバーを不安にし、リーダーの信頼を弱めさせることになります。判断に迷いがある場合や判断がつかないときは、経験深いメンバーに相談するとか、偵察を頼むなど、パーティー全体の英知を結集させるためにリーダーは努力することです。
けが人、病人、弱った人が出ないよう、リーダーはメンバーの体調や経験に十分注意を払い未然に防ぐ手だてが大切です。不幸にしてこのような人が出たときには、適切な応急処置をとり、一人で放置したり下山させてはなりません。必ず、しっかりした人をつけ、後からゆっくり行動させるか、下山を第一に考えなければなりません。
急に悪天になった場合、引き返すか、安全な道を下山します。予定のコースだけでなく、途中にあるエスケープルートを研究しておかなければなりません。
下山時の事故に注意
労山内で発生したハイキングや無雪期縦走中の事故の多くは、下山時又は下り道で発生し、バランスを崩したことによる手や足の骨折・捻挫などや滑落事故などが主なものです。中高年者はまっさきに体のバランスが悪くなり、ちょっとしたことでつまづいたり、転んだりしがちです。リーダーは下山時は特に注意を喚起しましょう。
下山後の対応
下山後は、最寄りの交通機関の駅などで解散してもよいと思いますが、山中での解散はいけません。下山または解放後は、各会の緊急連絡先へ必ずハイキングの終了を報告します。その後ハイキング報告書を会に提出しましょう。
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労山のハイキング講座のバンフから少し抜き書きしてみました。楽しく安全にバテないで仲間と歩くための心配りや準備、これは学校での子どもに対する対応と共通する所があると見ました。
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